リスキリング補助金・助成金【2025年最新】最大75%!研修や講座に使える制度を解説

リスキリング補助金・助成金【2025年最新】最大75%!研修や講座に使える制度を解説

2025年現在、政府は企業の持続的な成長と個人のキャリアアップを後押しするため、リスキリングに関する支援制度を強化しています。国が提供するリスキリング関連の助成金や補助金を活用することで、DX人材育成を目的とした研修や新たなスキルを習得するための講座にかかる費用負担を軽減することが可能です。例えば、人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」では、中小企業の場合、訓練経費の助成率が75%となることがあります。また、個人のリスキリングを支援する教育訓練給付制度では、一般教育訓練給付金で教育訓練経費の20%(上限10万円)が、専門実践教育訓練給付金では受講費用の最大70%が支給される場合があります。

この記事では、2025年の最新情報に基づき、企業と個人の双方が活用できる国の補助金・助成金制度について、その種類から申請時の注意点までを網羅的に解説します。

そもそもリスキリングとは?今、国が支援を強化する理由

リスキリングとは、経済産業省の定義によれば「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」を指します。
一度仕事を辞めて学び直す「リカレント教育」とは異なり、主に在職しながら新しいスキルを習得する点が特徴です。
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速や産業構造の転換により、多くの職種で求められるスキルが急速に変化しています。
このような社会情勢に対応し、労働生産性の向上と持続的な経済成長を実現するため、国は企業や個人によるリスキリングの取り組みを強力に支援しています。

よく聞く「補助金」「助成金」「給付金」は何が違う?

リスキリングを支援する制度には「補助金」「助成金」「給付金」といった様々な名称がありますが、これらは財源や受給の条件が異なります。
補助金は主に税金が財源で審査を伴う一方、助成金は雇用保険料を財源とし、要件を満たせば原則受給可能です。
給付金は社会保険制度の一環として個人に支払われるものを指すのが一般的です。
それぞれの違いを正しく理解し、自社の目的や個人の状況に合った制度を選択することが重要です。

補助金:審査を通過した場合に交付される

補助金は、国や地方自治体が政策目標を達成するために、事業者の取り組みを支援する目的で交付されるお金です。
主な財源は税金であり、公募期間内に申請された内容について審査が行われます。
設定された予算や採択件数に上限があるため、申請すれば必ずしも受け取れるわけではなく、事業計画の妥当性や政策目標への貢献度などが評価された上で、採択される必要があります。
新規事業の創出や設備投資など、政策的意義の大きい取り組みが対象となる傾向があります。

助成金:定められた要件を満たせば受給できる

助成金は、主に厚生労働省が管轄し、雇用保険料を財源としています。
雇用の安定や労働環境の改善、人材育成といった国の施策を促進する目的で設けられています。
補助金と異なり、定められた要件や条件を満たしていれば、原則として受給することが可能です。
申請期間が比較的長く設定されているものや、通年で受け付けているものも多く、計画的に活用しやすい点が特徴です。
従業員のスキルアップや職場環境の整備など、企業の労働に関する取り組みが主な対象となります。

給付金:主に個人を対象とした支援制度

給付金は、社会保険制度の一環として、特定の条件を満たした個人に対して国から支給されるお金を指します。
リスキリングの文脈では、主に雇用保険制度に基づく「教育訓練給付金」が該当します。
これは、働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした制度です。
個人が厚生労働大臣の指定する教育訓練講座を受講し修了した場合に、受講費用の一部が支給される仕組みとなっています。

【企業向け】社員の学びに活用できる国の補助金・助成金制度

企業が主体となって従業員のリスキリングを推進する際には、国が提供する多様な補助金・助成金制度を活用できます。
これらの制度は、中小企業から大企業まで、様々な法人・会社が利用可能です。
特に、既存の正社員が転職しない形で新たなスキルを習得し、社内のDX化や新規事業展開に貢献することを後押しする内容が充実しています。
従業員のキャリア形成を支援しつつ、企業の競争力を高めるために、これらの制度を積極的に活用することが推奨されます。

人材開発支援助成金で従業員のスキルアップを促進

厚生労働省が管轄する「人材開発支援助成金」は、企業が従業員に対して職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練などを計画的に実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
2024年度においても、企業の多様な人材育成ニーズに応えるため複数のコースが用意されており、従業員のスキルアップを強力に後押しします。
企業の成長戦略と連動させた人材育成計画を立て、本助成金を活用することで、コストを抑えながら効果的な社員教育が実現できます。

事業展開等リスキリング支援コース:新規事業に向けた人材育成に

事業展開等リスキリング支援コースは、企業が新規事業の立ち上げやデジタル化、グリーン化といった事業展開に伴い、従業員に新たなスキルを習得させる場合に利用できる制度です。
このコースの対象者となるのは、雇用保険の被保険者である従業員です。
助成を受けるためには、事業展開に関する計画を策定し、それに基づいた訓練計画を立てて実施する必要があります。
企業の成長戦略に不可欠な人材を社内で育成するための費用負担を軽減し、スムーズな事業転換を支援することを目的としています。

人への投資促進コース:DXやデジタル分野の訓練が対象

「人への投資促進コース」は、企業の持続的成長のために、デジタル人材や高度人材の育成に取り組む事業主を支援する制度です。
特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタル化に対応するための訓練が主な対象となっており、ITスキルやWeb関連技術、近年注目される生成AIの活用に関する訓練などが含まれます。
国民からの提案を基に訓練を類型化している点も特徴で、サブスクリプション型の研修サービスやe-ラーニングなども助成対象となる場合があります。
デジタル化の加速に対応するための人材育成に最適なコースです。

人材育成支援コース:職務に関連する専門知識・技能の習得に

「人材育成支援コース」は、従業員の職務に直接関連する専門的な知識や技能を習得させるための訓練を幅広く支援する制度です。
特定の資格取得を目指す訓練や、管理職向けの研修なども対象となります。
例えば、社会保険労務士などの専門資格取得のための講座受講も、企業の業務命令によるものであれば対象となり得ます。
OJTとOff-JTを組み合わせた訓練も助成対象となるため、各企業の実情に合わせた柔軟な人材育成計画を立てることが可能です。

経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」

経済産業省が主導する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、個人がリスキリングに取り組む際の支援を行う民間事業者に対して、国が補助金を交付する制度です。
この事業の特徴は、単なるスキル習得だけでなく、その後のキャリアアップや有利な条件での転職までを一体的に支援する点にあります。
個人は、採択された事業者が提供するキャリア相談、リスキリング講座の提供、転職支援といったサービスを割安な料金で利用できます。
企業が直接補助金を受け取るのではなく、事業者を介して個人の主体的な学びとキャリアチェンジを後押しする仕組みです。

ITツールの導入と研修がセットになったIT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者、個人事業主などが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化や売上アップをサポートする制度です。
この補助金は、会計ソフトや受発注システムといったソフトウェアの購入費用だけでなく、そのツールを効果的に活用するための導入研修やサポート費用も補助対象となる場合があります。
生産性向上を目的としたITツールの導入と、それに伴う従業員のスキルアップを同時に実現したい場合に活用できます。

【個人向け】キャリアアップに使える国の教育訓練給付制度

個人が主体的にスキルアップやキャリアチェンジを目指す場合、国の教育訓練給付制度が有力な選択肢となります。
この制度は、働きながらでも利用可能で、一定の雇用保険の加入期間などの要件を満たす人が、厚生労働大臣の指定する講座を受講・修了した場合に、費用の一部がハローワークから支給されるものです。
受講費用の補助に加え、特定の条件を満たせば、訓練期間中の生活を支えるための手当が支給される場合もあり、安心して学びに集中できる環境を整えられます。

受講費用の最大70%が支給される専門実践教育訓練

専門実践教育訓練は、中長期的なキャリア形成に役立つ専門的・実践的な教育訓練を対象とした制度です。この制度では、受講費用の給付が受けられ、原則として教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が支給されます。さらに、訓練修了後に目標とする資格取得や就職をして一定の条件を満たした場合、追加給付があり、合計で最大70%(年間上限56万円)の支給となることがあります。また、令和6年10月1日以降に受講を開始し、訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合は、最大80%(年間上限64万円)の給付が受けられるようになります。

対象となる講座は多岐にわたり、看護師や美容師、保育士といった業務独占資格の取得を目指す課程や、専門学校の職業実践専門課程、専門職大学院の課程などが含まれます。
受講開始時に45歳未満であるなどの一定の要件を満たす離職者には、訓練中の生活を支える教育訓練支援給付金が支給される場合もあります。

速やかな再就職を目指す方向けの特定一般教育訓練

特定一般教育訓練は、労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する講座を対象とした給付制度です。
ITパスポートや介護職員初任者研修など、デジタル分野や介護分野をはじめとした、現在の労働市場で需要の高いスキルが身につく対象講座が多く設定されています。
受講費用の40%(上限20万円)が支給され、専門実践教育訓練よりも短期間で受講できる講座が多いことが特徴です。
キャリアチェンジを迅速に進めたい方や、特定のスキルをピンポイントで習得したい場合に適しています。

幅広い講座が対象になる一般教育訓練

一般教育訓練は、働く人のキャリアアップや能力開発を幅広く支援するための制度です。
他の二つの制度に比べて対象となる講座の範囲が広く、TOEICなどの語学講座、簿記、PCスキル、各種資格の受験対策講座など、多様な分野の学びが対象となります。
受講費用の20%(上限10万円)が支給されるため、比較的気軽に始めやすいのが特徴です。
どのようなスキルを身につけるべきか迷っている方や、現在の仕事に役立つ基礎的なスキルを学びたい方におすすめの制度であり、対象講座の一覧はハローワークの検索システムで確認できます。

国だけじゃない!地方自治体が独自に行うリスキリング支援

リスキリングを支援する取り組みは、国だけでなく、各地方自治体も独自に展開しています。
これらの制度は、地域内の産業振興や人材確保を目的としており、国の制度と併用できる場合もあります。
例えば、東京都、京都府、大阪府、福岡県、兵庫県など、多くの自治体が独自の補助金や助成金制度を設けています。
自社が所在する、あるいは自身が居住する自治体のウェブサイトなどを確認し、活用できる制度がないか調べてみることをお勧めします。

東京都の「DXリスキリング助成金」の概要

東京都では、都内の中小企業等を対象に「DXリスキリング助成金」という制度を設けています。この助成金は、従業員に対してDXに関するスキルを習得させるための民間教育機関などが提供する訓練(e-ラーニングを含む)を受講させた場合に、その経費の一部を助成するものです。助成対象となる経費は受講料や入学金などで、助成率は経費の4分の3(75%)、1社あたりの上限額は100万円と定められています。DX化の推進と、それに伴う人材育成を計画している東京都内の企業にとって、有用な支援策です。

申請前にチェック!補助金・助成金を利用する際の注意点

補助金や助成金を活用する際は、申請方法や手続きの流れを事前に正確に把握することが不可欠です。
多くの制度では、訓練の開始前に計画書などの提出書類を準備し、認定を受ける必要があります。
また、申請期間が限られている場合も多いため、スケジュール管理が重要になります。
複数の制度の利用を検討する際は、それぞれの要件を確認し、併用が可能かどうかも調べる必要があります。
複数回の利用可否も制度によって異なるため、公募要領の熟読が求められます。

公募期間や申請要件を事前に必ず確認する

補助金や助成金にはそれぞれ公募期間や申請の締切が厳格に定められています。
この期間を過ぎてしまうといかに優れた計画であっても受け付けられません。
また対象となる企業の規模や業種、従業員の雇用形態に関する要件も制度ごとに細かく規定されています。
特に派遣社員を訓練の対象者に含めることができるかは制度によって扱いが異なるため注意が必要です。
申請を検討する際はまず公式の公募要領を隅々まで確認し自社が要件を満たしているかをチェックすることが第一歩となります。

受給までにかかるスケジュールを把握しておく

補助金や助成金の多くは、事業や研修を実施し、その経費を支払った後に、実績報告書を提出して初めて支給される「後払い(精算払い)」方式を採用しています。
そのため、申請が採択されてから実際に入金されるまでには数ヶ月以上の期間を要することが一般的です。
この間、企業は研修費用などを立て替える必要があるため、一時的な資金繰りの計画を立てておくことが重要です。
また、最終的に支給される金額がいくらになるのか、どの経費が補助対象として認められるのかを事前に正確に把握し、無理のない計画を立てる必要があります。

まとめ

デジタルトランスフォーメーションや産業構造の変化に対応するため、リスキリングの重要性はますます高まっています。
国や地方自治体は、こうした動きを後押しするために、企業向け・個人向けに多様な補助金・助成金制度を用意しています。
企業は人材開発支援助成金などを活用して従業員のスキルアップを図り、競争力を強化できます。
個人は教育訓練給付制度を利用して主体的にキャリアを切り拓くことが可能です。
それぞれの制度には要件や申請期間があるため、情報を正確に収集し、自社の状況や自身のキャリアプランに最適な制度を見つけて計画的に活用することが求められます。